職務発明訴訟の一つ、東芝フラッシュメモリー訴訟が東京地裁で和解しました。
訴えていたのは東芝の元社員であり東北大教授の舛岡富士雄氏で、自らが開発したフラッシュメモリーに関する特許の相当対価を80億円と主張、一部請求で11億円を請求していました。
東芝と舛岡氏は和解に合意、請求原因となっている特許は、舛岡氏の発明のうち一部でしたが、和解は舛岡氏の関与したすべての特許を対象としており、8700万円の支払うというものです。
東芝のプレスリリースはこちら。
ちなみに従業員当時に受け取った対価は約600万円でした。
和解してしまうと法的先例としての価値の評価が難しいですが、法的判断を示していないということだけは明らかです。
よって、発明対価が高く認められるということは言えるようになってきましたが、今回のフラッシュメモリーに関しては、クロスライセンスが主流で特許料としてのの対価がないタイプのものでそういった場合、相当な対価を同算定するのかに関してはわからずじまいです。
発明がなければフラッシュメモリーという製品もなく、市場すら生まれなかったというなら、売り上げと利益率から考えればいいかもしれませんが、クロスライセンスで得た利益も間接的にはもとの特許がもたらした利益でしょうから本当のことを言うなら入れないとおかしいわけです。
これからは新しい特許法35条によってこういった問題を悩む事態は減るのかもしれませんが、実務的には社内規定を十分合理的に整備しておかないと争われるおそれがありますから、一定の合理性のある算定方法を考えなくてはいけないでしょう。