東京高裁、アメリカへの被告人引渡し認めず【遺伝子スパイ事件】


アメリカから身柄引き渡し請求がでていた遺伝子スパイ事件で、東京高裁は引渡しを認めないという判断をしました。こちら

遺伝子スパイ事件では、アメリカは、経済スパイ法違反で刑事訴追をして、主権の及ぶ範囲内に被告人がいなかったために、日米犯罪人引渡条約に基づいて日本政府に引渡しを請求してきました。

条約では、ようするに、日本およびアメリカの法令で1年以上の拘禁刑になる犯罪については引渡しをするとなっています。

日本には、経済スパイ法にあたるものがない(不正競争防止法はありますがかなり限定的な役割しかありません)ために、検察側は、日本およびアメリカ法両方で犯罪と認められるという要件を満たすために、「日本法上は窃盗」という構成をとったようです。

これに対して、東京高裁は、アメリカ法でどうなるかについて日本で審査するという考え方を提示して、経済スパイ法には当たらないとして引渡しを認めなかったわけです。

この判断は、結論の当否はともかく、抵触法の観点からは妙なことがたくさん含まれています。

まず、普通、こういう内外法令の抵触がおきた場合、国内法を適用して結論を出してしまうのですが、アメリカ法を適用してしまうという点が異端です。

次に、アメリカ法についての、有権的な判断ができるのはアメリカの裁判所だけなので、日本の裁判所がアメリカ法を参酌する場合どのようにすればいいのかは、かなり議論のあるとことですが、その点については触れていないようです。

あえてこんなことをしなくても、日本法上、構成要件にあたらないといってしまえばすんだはずなので、なにか事情があったのでしょうか。

この問題についてはもう少し調べてみます。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)