佐々淳行著「後藤田正晴と十二人の総理たち―もう鳴らない“ゴット・フォン”」を読みました。
この本も佐々淳行のほかの著作と同じく、非常に読みやすいためするすると読み進められました。
相変わらず、右派的にエネルギッシュな方ですが、無教養な人間がそうだとただの不穏分子ですが、知的エリートで行動力があるのはたいしたものです。
ただこの本、タイトルから想像するほど後藤田正晴は出てきません。
むしろ佐々淳行が何をしたか、それに対して後藤田正晴が電話でなんと言ったかという内容の本です。
後藤田正晴の軍隊嫌いアメリカ嫌いは本当に筋金入りですのでその辺が良くわかります。
佐々淳行自身の感想として、日本がようやく小泉総理やイチローなど一匹狼を認めるようになったことを感慨深く感じている下りがあります。
危機ゆえの過渡的な現象かもしれませんし、個人主義がようやく結実した結果かもしれません。政治の世界では「ほっ」とした雰囲気が流れており、今後どうなるかはわかりませんが、少なくとも総論的には日本も一匹狼を受け入れる素地はできたのではないかと思います。
「馴れ合うのはいやだから、誤解されても仕方がない」時代の始まりです。