米連邦最高裁、イーベイのサービス停止命令を破棄


アメリカの特許管理会社が、インターネット競売最大手のイーベイを特許侵害で訴えていた裁判で、連邦巡回区連邦控訴裁判所は、イーベイに当該特許を使用したサービスの停止を命じていたのですが、米連邦最高裁判所は、控訴審判決を破棄、審理を差し戻しました。
eBay Inc. v. MercExchange, L.L.C., No. 05–130 (U.S.S.C. May 15, 2006)
争点となっていたのは、本案的差止命令の可否です。本案的差止は要するに差止を求める訴えのことで、仮処分ではないというところに意味があります。
アメリカの判例法では本案的差止命令を認める要件として、4点をあげています。①回復不可能な損害を被ること、②法による救済では不十分であること、③原告と被告間の困難のバランス、④公共の利益を害さないこと、の4点で、これを請求している側が立証する必要があります。
第一審である連邦地裁は、原告がライセンスを与えることに乗り気であることや原告自身の特許の実施がないことは、上記①がないことを示すとして、こういった特許権者からの請求は一律に否定する判断を示しました。
これに対して、連邦控訴裁判所は、全く逆に公共の利益を害するような場合は例外的として、一律に本案的差止を認める判断を示しました。
連邦最高裁は、このどちらの態度も妥当でないとして、カテゴリカルな判断ではなく、それぞれの事象ごとに判断は異なってよいとして原審を破棄、その点の審理のため差し戻しました。
日本では差止ができるのは極めて限定的ですが、アメリカでは差止はエクイティー上の救済であるため結構広汎にできるという違いがあります。
特許の場合は日本の特許法にも差止請求権の規定があります(100条)ので結果的にはあまり変わりませんが、議論の立て方は日本と同じようでちょっと違うところがあり、日米の法律の歴史の違いがわかる一件だと思います。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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