【三菱地所サブリース訴訟】東京高裁で地主の金利負担軽減分に限った和解が成立


地価の下落により採算割れを起こしてしまっているサブリース契約の賃料引き下げを求める訴訟が相次いでいることは何度かこのブログで取り上げてきていますが、そのうちの一件で和解が成立しました。
和解したのは三菱地所とアイケイコーポレーションのケースで、東京高裁で地主の金利負担軽減分の19%の減額とすることで和解が成立しました。


三菱地所サブリース訴訟、金利軽減分の賃料下げで和解成立(日本経済新聞2006年5月12日)

地主が建設したビルを不動産会社が借り上げテナントに転貸する「サブリース契約」を巡り、三菱地所が地主のアイケイコーポレーション(東京・品川)に、経済変動などを理由に賃料の約60%の減額を求めた訴訟の控訴審で、減額幅を地主の金利負担軽減分相当の19%とする内容の和解が東京高裁(江見弘武裁判長)で成立していたことが、11日分かった。
(略)

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サブリースに関しては、最判平成15年10月21日(民集57巻9号1213頁)で、借地借家法32条1項は適用されるものの当初の契約にいたった事情を総合判断という趣旨の判示がなされてそれ以降は、事情の個別判断を行う裁判例が相次いでいます。
今回のケースでは、地主側が借り換えか何かで金利負担の軽減が図れてるためその分は、賃料減額ということになりました。
市場価格も考慮した上でのことでしょうが、賃料減額請求権のそのままの適用とは相当異なり、地主有利といえるでしょう。
この点は従来からの事例の範疇に収まります。
ただ、この地主側での金利負担軽減は損害軽減義務のようなものなのでしょうか。
どの地主も超低金利下で金利負担の軽減を図れているとは思いますが、その負担軽減幅は地主の信用力によってばらばらでしょう。
この和解に先例的な価値を認めるなら、デベロッパー側にとっては埒外の事情で賃料減額の幅は変わってくることになります。
そもそもデベロッパー側から持ちかけたものですし、金利軽減も地主の義務とまではいえないでしょうから、ケースによっては減額幅はばらばらで金利負担軽減分に依拠しない算定もありということになる感じがします。
サブリース関連の過去のエントリー
最高裁、サブリース契約で賃料減額請求権を優先、反対意見も(2004/11/09)
サブリース賃料減額訴訟で和解成立、地主側の支払い額は大幅に減額(2005/12/20)
東京地裁、サブリース賃料減額訴訟で一部認容の判決(2005/12/27)
上記の最判平成15年10月21日(民集57巻9号1213頁)はこのブログの本格稼動前だったため直接取り上げたエントリーはありません。ご了承ください。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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