新しい公開買付制度の概要が報道される 3ヶ月間の株売買を一連の取引とみなす


金融商品取引法の制定にあわせて、政令で定められる新しい公開買付(TOB)制度の概要が今朝の日経朝刊の一面で取り上げられました。

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TOB義務条件、期間や取得率明示・金融庁検討(2006年4月20日日本経済新聞)

企業買収の手法の一つのTOB(株式公開買い付け)制度について、金融庁が検討している新ルールが明らかになった。
(略)
具体的にはTOBの最長期間となる60営業日とほぼ同じ3カ月間以内の株売買を一連の取引とみなす方針。この間に市場外で企業の発行済み株数の5%超を取得し、市場内と合わせて10%超を買い集め、保有割合が3分の1を超える場合にはTOBを義務付けることなどが柱だ。
(略)
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現行の証券取引法のルールを整理してみます。

原則、市場外における有価証券報告書提出会社の株式の買付は、公開買付によらないといけません。
これには3つの観点から例外がついています。
・取得後割合の例外…適用は5%以上の取得の場合に限られており、ごく少ない取得なら適用されません
・買付対象の例外……少数者から買い付ける場合は相対取引なので適用対象外となります。ただし、これには例外の例外がありまして、3分の1超の取得になる場合は適用されます。
・買付の場の例外……店頭で買う場合は適用されません。ただし、立会外取引の場合は適用されます。

これらから実務的なまとめ方をすると、3分の1超を市場外で取得する場合には公開買付が必要という理解になるわけです。

しかし、すると、3分の1にいかない市場外買付と市場内買付の組合せや、時期をずらして小分けに買い付けるなどの迂回方法がいくらでも思いつきます。
実際に、ライブドアとニッポン放送、ドンキホーテとオリジンや村上ファンドと阪神など実例が出てきています。

このような抜け穴だらけにみえるルールになっているのは、情報の偏りによる株主に有利不利が生じないように買う側に情報をしっかり流すようにさせることを主眼があるためです。
よって例外とされているのは、会社の支配権や株価に変動をそれほどもたらさないだろうからしなくてもよいとされているものになります。
一般株主にも参加のチャンスがあるからという理由で市場内取引をすべて適用外としているのはその最たる例です。

しかし、昨今の事例の蓄積から、この規制では出し抜けに株主の変動が起こる例が相次ぐことが判明、大幅な制度変更となりました。

大きな変更は「一連の取引」として捉えるようになる点と、市場内取引も含めるようになる点です。

3ヶ月以内の売買、市場外5%超、市場内10%超で、3分の1以上の株式取得となる場合は、公開買付を義務付けるということです。

急な変動をさけるという点からしか考えていないため、現行では取引をロングスパンで捉える規定はほとんどありません。少数者からの買付の例外の規定で、60日間に10人以下という下りがあり、期間を気にしているのはこれぐらいですが、新ルールでは3ヶ月となっており、これより長くなっています。ようするに公開買付の実施期間の一致させたということです。

この案の当否に関してはまだまだ議論の余地がありそうですね。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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