最高裁 みなし弁済の適用を認めた上告審としての高裁判決を特別上告審で職権で破棄


第一審が簡易裁判所で始まった場合、上告審は高等裁判所になるのですが、この場合、特別上告によって最高裁へ行く道が残されています。
(特別上告)
第327条
1 高等裁判所が上告審としてした終局判決に対しては、その判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに限り、最高裁判所に更に上告をすることができる。
2 前項の上告及びその上告審の訴訟手続には、その性質に反しない限り、第二審又は第一審の終局判決に対する上告及びその上告審の訴訟手続に関する規定を準用する。この場合において、第三百二十一条第一項中「原判決」とあるのは、「地方裁判所が第二審としてした終局判決(第三百十一条第二項の規定による上告があった場合にあっては、簡易裁判所の終局判決)」と読み替えるものとする。

すると簡裁から始まると4審級できることになり、不公平に感じられるかも知れませんが、特別上告審は再審のようなもので原審の遮断効がないなど違う点があります。
さて、最高裁は3月17日の判決で、利息制限法を上回る高金利の貸付をめぐり簡裁、地裁、高裁がみなし弁済の適用を認めていた事件の特別上告審で、1月13日の最高裁判決を参照、貸金業規正法施行令が無効であることから本件で交付していた18条書面も無効であるとして、上告審としての高裁判決を取り消し、原々審判決も取り消し、神戸地裁に差し戻しました。
平成18年03月17日 第二小法廷判決 平成17年(テ)第21号 貸金等請求事件
判決全文はこちら
上記の民事訴訟法327条にあるように特別上告の要件は憲法違反だけなので、この場合は特別上告理由には当たりません。
よって判決の冒頭で、上告理由に当たらないと宣言しており、「職権による検討」で上記の論を展開しました。
上告審としての高裁判決が出されてから最高裁が、貸金業規正法施行令を無効と判断したのでこうなったのは致し方ない点があります。
特別上告は相当イレギュラーな制度ですし、しかもその中で職権で判断するはさらにイレギュラーです。
今回のような扱いは相当珍しいケースであるといえましょう。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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