契約の時代を感じた一件


今日こんなニュースがありました。

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「一生酒飲まない」条件・栃木のひき逃げ、損賠訴訟で和解 日本経済新聞2006年3月16日

 栃木県益子町で2003年3月、女子中学生2人がひき逃げされ死亡した事故で、2人の両親が加害者の谷口紀幸受刑者(41)=業務上過失致死罪などで懲役7年=に計約4億1500万円の損害賠償を求めた訴訟は16日までに、宇都宮地裁(岩田真裁判長)で和解が成立した。

 和解条件には、受刑者が(1)一生酒を飲まない(2)出所後15年間、盆や彼岸など年3回以上、事故現場を清掃する(3)出所1年後から15年間、東京都の犯罪被害者支援団体に毎月1万円を寄付する――などの内容が盛り込まれた。和解金額は原告の意向で明らかにされていない。

( 記事のリンクはこちら
※引用は記事の一部にとどめています。
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最近、和解内容の多様化が非常に顕著であるのでその一例といえると思います。
和解が契約であり当事者の意思によってさまざまな内容を盛り込みうる事が最大限活かされているわけですが、内容の柔軟性の代わりに実行の担保という点から考えると契約というのは微妙な点を含むなあと感じました。
債務不履行に対しては、民事執行で強制していくわけですが、酒を飲まないとか清掃に関しては、直接強制ができませんから、違反があってもお金の問題になってしまいます。
清掃は代替執行して代金請求も可能ですが、この場合は当人が清掃することに意味があるのですから、やはり実行を担保するいい方法はなさそうです。
内田教授の言われるように契約の時代であることは確かだと思いますが、するとエンフォースメントが問題になるなあと思った次第です。

余談ですが、この訴訟では被告に加害者と加害者が加入していた自賠責の保険者である農協が含まれています。
これは債権者代位権の裁判上の行使です。
損害額が確定していないために加害者が保険金を請求していないために、この時点では期限未到来の債権になるわけです。そのため代位を裁判上でする必要があるわけです。
昔は無資力要件が厳格だったのと、金額確定前の行使は認められなかったため保険金にかかって行くことができなかったわけですが、改訂された約款を受けて最高裁は最判昭和57年9月28日民集38巻6号1652頁で加害者への損害賠償と併合して保険会社への債権者代位権の行使を認めているのでこのようになったわけです。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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