国土交通省 マンション経理に信託を導入へ


マンション管理にかかわる法制度は、マンション管理適正化法の施行、標準管理規約の改正など近年逐次改められてきているのですが、ここにきて国土交通省は、マンションの修繕費などのお金の管理に信託方式を導入するという方針を決めました。
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マンション修繕費など信託可能に・国交省07年度導入検討 日本経済新聞3月11日

 国土交通省は、マンション管理組合が修繕費などを信託銀行に預けて分別管理する「信託方式」を2007年度にも導入する方針を固めた。管理組合内で不正があったり、組合の口座を実質的に取り仕切る管理業者が倒産したりして資産が散逸するのを防ぐのが狙い。同時に管理業者の資格要件も厳格にする。年内にも関連法の改正法案を国会に提出する方向だ。(略)

引用記事からもわかるように、これは管理組合内での使い込みや修繕費を託していた管理業者が倒産してしまうケースが結構起きていることを念頭においています。
よって、居住環境としてのマンションが増加の一途をたどり、居住者も年数を経てきたことにかんがみて行った近時の一連の改正とは、質的に異なるものがあります。
信託すると当然ながら、信託業を行える業者に手数料を払って預けることになりますが、信託業は信託された財産は分別管理されますので、倒産によって失われてしまうことがないのがメリットです。
マンション管理業者も預かった財産の分別保管義務がマンション管理適正化法に定められているのですが、信託と違って分別を制度的に裏づけるものがないため、実際には失われてしまうケースが多発しています。
マンションの管理の適正化の推進に関する法律
第76条(財産の分別管理)

マンション管理業者は、管理組合から委託を受けて管理する修繕積立金その他国土交通省令で定める財産については、整然と管理する方法として国土交通省令で定める方法により、自己の固有財産及び他の管理組合の財産と分別して管理しなければならない。
マンションの管理業者は大規模修繕が後日必要になるため信用力がかなりないと困るのですが、実際にはあんまりなものも多く、最近、倒産が相次いでいます。
また管理組合の内部統制が住民の無関心のせいで緩んでおり、使い込みなども散見されます。
私の自宅もそばのマンションでも発生しました。
横領した方は刑務所送りになりましたが、失われた管理費は取り戻せずじまいのようです。
信託方式にすれば業者倒産時のリスクはなくなりますが、ちゃんとした管理費の使用がなされるかは、やはり管理組合内部の問題です。
近時の改正は管理組合の強化の方向に舵を切っており、最終的には自己責任という話になるのでしょう。
さてネット版では載っていませんが、本紙面の日経の記事では、マンション管理適正化法で管理組合は、管理費を自らの銀行口座で管理することを義務付けられていると記載されていましたが、マンション管理適正化法は、管理業者とマンション管理士について定めた法律で管理組合について定めているものではありません。よってそのような規定はないので、当該記述がどういうことなのかよくわかりません。
そもそも76条で管理業者が管理組合の財産を委託を受けて管理することを認めているのですが…。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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