東証、買収防衛策の整備に係る改正上場制度を施行


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3月8日より東証で上場企業が買収防衛策を導入した場合に対応した上場制度が施行されました。
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ちょうど商事法務1760号に東証の飯田一弘氏による解説記事(飯田一弘「買収防衛策の導入に係る上場制度の整備」商事法務1760号18頁)が掲載されましたのでそれに依拠しつつ、新制度の概要をみてみようと思います。

報道では、東証への事前相談制や黄金株の話ばかりが取り上げられますが、飯田氏の解説記事に依拠すると、主要な点は3点からなります。

①買収防衛策導入・発動の適時開示
②尊重事項と尊重義務違反の公表
③株主権の不当制限状態を解消しない場合の上場廃止


①適時開示
開示しなればならないのは、新株や新株予約権を発行する形の買収防衛策の導入や発動の事実です。
発行価格が少ないことにかかわらず、すべて開示することが必要となります。
むしろ少ない発行価格で発行する場合の方が希釈化につながるので株価を乱高下させてしまうため、要注意であるといえます。

②尊重義務と義務違反の公表
尊重義務というのは4点からなるもので上場企業が買収防衛策の導入にあたり尊重することを義務付けられる項目です。
ⅰ開示の十分性
ⅱ透明性
ⅲ流通市場への影響
ⅳ株主権の尊重

ⅱの透明性はわかりにくいですが、経営者の恣意ではないこととされています。

この4点を尊重することが義務であり、東証へは買収防衛策の導入にあたり事前相談をすることが求められます。この過程で東証は尊重義務を尽くしているかを判断、場合によっては公表する事になる模様です。

日経の記事によると事前相談から判断まで2週間という数字が出ていましたが、実際の運用が始まってみないとなんともいえないかと思われますので、現時点での東証の目安というところでしょう。

③上場廃止
株主権が不当に制限されていると東証が判断した場合、その状態が6ヶ月以内に解消されないと上場廃止になります。
具体例としては3つ挙げられていて、
ⅰ随伴性のないライツプラン…安価な新株予約件を防衛策導入時の株主に割り当てるなど
ⅱデッドハンド型ライツプラン…取締役を交代させても発動をとめられないライツプラン
ⅲ拒否権付種類株式(いわゆる黄金株)

これら3種は、買収防衛策としてよく考えられるものですが、株主権の侵害がひどいということで東証としては認められないという判断になりました。
黄金株は具体例に登場しており、認められるのは民営化企業が国の関与を残すために発行する場合などとしており、それ以外の場合、すわなり日本中の経営者が熱望している一般企業が導入する場合に関しては、「例外的な取扱いの適用は慎重に行うこととしたい」としており、黄金株原則禁止とみてよい内容です。
前回の報道よりはかなりのトーンダウンとなりました。

以上①と②は、東証の適時開示規則、③は上場廃止規則に規定が用意されました。
新規上場会社に対しては上場審査基準に同趣旨の規定が用意されています。

規定自体は各所に分散しているため、読むのは若干容易ではありませんが、簡単に言うと東証への事前相談がまず求められるということです。
個別事例への対応という側面が相当強そうですので、あまり具体例も示されておりませんし、買収防衛策を導入する側にとっては試行錯誤と事例の蓄積を待つほかなさそうです。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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