自民党から信託法改正案に異論噴出


信託法改正は要綱試案から意見募集をして改正案がまとまり後は国会提出というところまでこぎつけています。
現在、政府提出法案とするため与党に諮っている段階ですが、その内容をめぐり自民党から異論が相次いでいます。
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信託法改正案、国会提出に「黄信号」・信託宣言に異論噴出(日本経済新聞2005年3月4日)

自民党の法務部会・財務金融部会合同会議は3日、様々な信託の仕組みを認める信託法改正案の了承を見送った。自分の財産を自分に信託する「信託宣言」は「制度的に悪用される恐れがある」との異論が噴出したためだ。

※記事の引用は、ネット版のもとの記事の半分以下にとどめています。
問題となっているのは「信託宣言」という信託設定行為を改正法が認める方向であることです。
信託宣言によって信託を設定すると、委託者自らが受託者となり、受益者のために信任義務を負うことになります。
信託財産となりますと、分別保管義務が出ますので、受任者の一般財産とは切り離されます。よって委託者が自らの手元にお金を残しながら、債権者の手が及ばないようにできるではないかと懸念されたわけです。
この懸念が当てはまるのは、委託者=受任者=受益者の場合ですので、受益者が別にいる場合は、ごくごく普通の信託になります。このため今改正のもとであるアメリカの信託法理では全く問題なく信託宣言による信託設定は認められています。
改正法でもこの懸念に対する対応として、改正要綱には「詐害信託取消し」という下りがあります。しかし、改正要綱では、民法の詐害行為取消権の活用を前提としていて裁判に訴えないといけないことになっています。報道では改正法では裁判をしなくてもいいように変わっているように伝えられていますが未確認です。
資産隠しへの懸念というわけですが、濫用的なものについては従来からある民法や破産法のルールで対処すればよいと立法者は考えている模様ですが、最近経済犯罪が相次いでいるせいもあり、懲りてしまった与党内には警戒感が強いようです。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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