ささやかな疑問


法律の条文で本文の前にタイトルみたいなものがついていますが【 】と( )の二種類あります。


民法第1条
(現代語化前)

【基本原則】
第1条
1 私権ハ公共ノ福祉ニ遵フ
2 権利ノ行使及ヒ義務ノ履行ハ信義ニ従ヒ誠実ニ之ヲ為スコトヲ要ス
3 権利ノ濫用ハ之ヲ許サス


(現代語化後)

第1条(基本原則) 
私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。


記号が違う以上、違いがありまして、【 】は、もとの条文には何も書かれておらず、六法を編纂した出版社で付加したものです。
昔の法律は条文ごとのタイトルなどつけませんでしたので、出版社で便宜のためにつけたわけです。そのため会社によっては【 】ではなく、[ ]を用いているものもあります。

そのうち起草時からタイトルをつけるようになりました。
それが( )で書かれているものです。

この経緯から【 】は昔の法律に多くついていますし、最近の相次ぐ改正によって( )がつくようにあったのでだんだんと減ってきています。
六法の編集は出版社ごとに参加している学者が異なり、大学ごとのすみ分けの観すらあります。
そのため【 】のタイトルは、出版社ごとに若干違うわけです。

東大法学部の法学者(とそのOB)だけで構成されているのが有斐閣の六法です。
ほかの出版社は有斐閣のに参加していない東大の法学者とその他の著名な学者で編集委員を構成しているわけです。
そのため東大では有斐閣の六法がもっともよく使われているのですが、市場全体でもシェア一番であると有斐閣はいっています。

教育的に配慮がされているという点でいうなら有斐閣のが一番ではないかと思います。しかしあまりに深遠な仕掛けもあるので、その奥深い意義に最近になってから気づくこともあります。学生時代にもっと使いこなせていればさぞよかったのに…。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

3 thoughts on “ささやかな疑問

  1. はじめまして、おはようございます。大学1年生でまだまださっぱりわからないことだらけの法学部生なのですがポケット六法を使ってます。有斐閣ですよね…深遠な仕掛けとは一体何なのでしょうか?非常に気になりますが見当がつきません、よろしければ教えていただけませんか??

  2. コメントありがとうございます。ある程度法律を勉強していくと、よくわかる類のなかなかマニアックなものですが、http://yamaguchi-law-office.way-nifty.com/weblog/2005/11/post_7241.htmlにお書きになられていることがいい例です。

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