ライブドア、証券取引法違反の疑い 堀江社長ら逮捕される事態に


時代の寵児なのか、ただのお騒がせなのか判断がつきかねますが、逮捕という事態にいたってようやく取り上げます。

東京地検は16日以降、ライブドアを証券取引法の疑いで強制捜査、結果、容疑が固まったとして23日堀江社長以下同社幹部4名を逮捕しました。

このエントリーでは被疑事実とされている証券取引法違反について、証券取引法全体を概観しつつ整理してみようと思います。

報道から見る限り、証券取引法のうち、偽計取引と風説の流布でまず逮捕に踏み切ったようです。
すでに現金で買収しながら、株式交換で買収すると公表、株式分割とあいまって株価を急騰させたという件をさしていると考えられます。
粉飾決算関係は容疑が固まればいずれ追加して再逮捕するつもりなのでしょう。

さて証券取引法は、4つの柱からなる法律です。
・株式発行会社への開示制度の義務付け
・不公正取引の禁止
・証券業の規制
・取引の場の規制

今回問題となっている風説の流布などは、不公正取引の禁止の規定群に含まれます。
不公正取引の禁止はさらに2つに大別され、一般の不公正取引(「何人も」と規定されているものです)と証券会社による不公正取引があり、前者は、インサイダー取引、相場操縦、安定操作、空売りの4つからなります。(この辺は論者によって整理の仕方はさまざまです)

このうち、相場操縦は159条に規定されているのですが、その一つ前158条で風説の流布・偽計取引は禁止されており、その他の相場操縦と整理されています。
相場を意図的に動かそうということでしょうから、この分類は問題ないと思いますが、相場操縦は判例で目的犯とされています。

最判平成6年7月20日刑集48巻5号208頁(協同飼料事件)がそれでして、刑法を勉強された方ならお分かりになるかと思いますが、目的犯となるととたんに成立しにくくなります。
よって摘発はほとんど不可能とかされていまして、日本では証券取引法の摘発事例がほとんどないのですが、それに一役かっていると見ていいでしょう。

報道されている限りでは、それでも何とかなりそうな感じがしてきますね。
これで風説の流布と偽計取引で起訴にこぎつけたら、逆に当事者がいろいろ残しすぎで何をやっていたんだということになりかねないくらいすごいことです。
証券取引法の刑事規定はそれくらい使えない規定群でして、ごくごく一部の人しか出入りしない世界だからこそこれでもよかったのかもしれません。

金融庁が何もしていないのに先に検察が動き出したなど端緒からしていろいろと不思議なことが多い事件ですが、それはさておいても証券取引法の規定の整理作業はまだまだした方がよさそうですね。

【相場の変動を目的とする不正行為の禁止】
第158条
何人も、有価証券の募集、売出し若しくは売買その他の取引若しくは有価証券指数等先物取引等、有価証券オプション取引等、外国市場証券先物取引等若しくは有価証券店頭デリバティブ取引等のため、又は有価証券等の相場の変動を図る目的をもつて、風説を流布し、偽計を用い、又は暴行若しくは脅迫をしてはならない。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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