AMD対インテル訴訟、東京地裁で公取委に対して文書提出命令


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今年3月に日本の公取委がインテルに対して独禁法違反で排除勧告を行い、これに対してインテルは、違反行為の存在は認めないものの応諾していました。
これを受けて、被害を被ったAMDは6月30日にインテルに対して東京高裁と東京地裁で訴訟を提起しました。
この2件のうち、東京地裁での訴えの方で、AMDが公取委がインテルを調査した資料を証拠として提出するように、文書提出命令申立てを行い、これが認められ、東京地裁は公取委に文書提出命令を出しました。
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文書提出命令は民事訴訟法221条に定められている書証を提出させるための手続きです。
文書を所持しているのが第三者である場合、223条2項よりその者を審尋しなければなりません。その際、提出できないと所持者が主張する場合にはイン・カメラ手続きが行われることもあります。
審尋で公取委がどうしたのかは明らかになっていません。
また文書提出命令の申立てに対しては、民事訴訟規則140条2項より訴訟相手方も意見を述べることができます。インテルはここにおいて、文書提出命令申立てを却下するよう求めていたようですが、認められなかった模様です。
東京高裁での訴訟は、独禁法25条に規定されたもので独禁法事件として決着した事実に依拠するものですので、それとは別に東京地裁でも公取委の資料に依拠することがどのように意味を持つのかいまいちですが、おそらく独禁法事件として認定された事実のほかにも、調査資料にはいろいろと内容があり、それらに依拠した損害賠償請求に結び付けたいのだと考えられます。
行政は、事実のごくごく一部の絶対確実と言えることにしか公的には触れないものですので。
注目されているおかげで手続きまで詳細に報道され、大変勉強になるいいケースです。
民事訴訟法
(文書提出命令の申立て)
第221条
1 文書提出命令の申立ては、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
一 文書の表示
二 文書の趣旨
三 文書の所持者
四 証明すべき事実
五 文書の提出義務の原因
2 前条第四号に掲げる場合であることを文書の提出義務の原因とする文書提出命令の申立ては、書証の申出を文書提出命令の申立てによってする必要がある場合でなければ、することができない。
(文書提出命令等)
第223条
1 裁判所は、文書提出命令の申立てを理由があると認めるときは、決定で、文書の所持者に対し、その提出を命ずる。この場合において、文書に取り調べる必要がないと認める部分又は提出の義務があると認めることができない部分があるときは、その部分を除いて、提出を命ずることができる。
2 裁判所は、第三者に対して文書の提出を命じようとする場合には、その第三者を審尋しなければならない。
3 裁判所は、公務員の職務上の秘密に関する文書について第二百二十条第四号に掲げる場合であることを文書の提出義務の原因とする文書提出命令の申立てがあった場合には、その申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当該文書が同号ロに掲げる文書に該当するかどうかについて、当該監督官庁(衆議院又は参議院の議員の職務上の秘密に関する文書についてはその院、内閣総理大臣その他の国務大臣の職務上の秘密に関する文書については内閣。以下この条において同じ。)の意見を聴かなければならない。この場合において、当該監督官庁は、当該文書が同号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べるときは、その理由を示さなければならない。
(平成一三法九六本項追加)
4 前項の場合において、当該監督官庁が当該文書の提出により次に掲げるおそれがあることを理由として当該文書が第二百二十条第四号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べたときは、裁判所は、その意見について相当の理由があると認めるに足りない場合に限り、文書の所持者に対し、その提出を命ずることができる。
(平成一三法九六本項追加)
一 国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ
二 犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ
5 第三項前段の場合において、当該監督官庁は、当該文書の所持者以外の第三者の技術又は職業の秘密に関する事項に係る記載がされている文書について意見を述べようとするときは、第二百二十条第四号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べようとするときを除き、あらかじめ、当該第三者の意見を聴くものとする。
(平成一三法九六本項追加)
6 裁判所は、文書提出命令の申立てに係る文書が第二百二十条第四号イからニまでに掲げる文書のいずれかに該当するかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、文書の所持者にその提示をさせることができる。この場合においては、何人も、その提示された文書の開示を求めることができない。
(平成一三法九六本項改正)
7 文書提出命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。
民事訴訟規則
(文書提出命令の申立ての方式等・法第二百二十一条等)
第140条
1 文書提出命令の申立ては、書面でしなければならない。
2 相手方は、前項の申立てについて意見があるときは、意見を記載した書面を裁判所に提出しなければならない。
3 第九十九条(証拠の申出)第二項及び前二項の規定は、法第二百二十二条(文書の特定のための手続)第一項の規定による申出について準用する。


民事訴訟法の教科書のスタンダードです。伊藤教授の見解も随所に示されているので、カタログ的な教科書とは異なりますが、大変よくまとまっている本です。


高橋宏志教授の本格的な著作です。書き始めてからずいぶんたっているので、当初の分には補訂が必要になっています。非常に難解で理論的です。ある程度民事訴訟法を勉強した後だと、大変役立つかと思われます。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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