企業価値研究会、買収ルール案でTOB撤回を認める


積極的な活動が目立つ、神田教授率いる経済産業省の研究会「企業価値研究会」ですが、新たに買収ルール案を取りまとめました。企業価値を高めるための買収ルールとされています。
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内容は、証券取引法の規定の改正を求めるものから、当事者に遵守を期待する自主的なルールの類まで多岐に渡ります。M&Aにかかわるルールといっても、法律で規定しておくにふさわしいものからそうでないものまで様々あることからこのようになったのでしょう。
証券取引法の規定にかかわる部分では、公開買付の撤回を認めることと、買付期間下限の延長を打ち出しています。
公開買付撤回禁止は証券取引法27条の11に規定されています。
【公開買付けの撤回等の禁止とその例外】
第27条の11
1 公開買付者は、公開買付開始公告をした後においては、公開買付けに係る申込みの撤回及び契約の解除(以下この節において「公開買付けの撤回等」という。)を行うことができない。ただし、公開買付者が公開買付開始公告及び公開買付届出書において公開買付けに係る株券等の発行者である会社の業務若しくは財産に関する重要な変更その他の公開買付けの目的の達成に重大な支障となる事情(政令で定めるものに限る。)が生じたときは公開買付けの撤回等をすることがある旨の条件を付した場合又は公開買付者に関し破産その他の政令で定める重要な事情の変更が生じた場合には、この限りでない。
2 前項ただし書の規定による公開買付けの撤回等を行おうとする場合には、公開買付期間の末日までに、内閣府令で定めるところにより、当該公開買付けの撤回等を行う旨及びその理由その他の内閣府令で定める事項を、日刊新聞紙に掲載して公告をしなければならない。ただし、公告を当該末日までに行うことが困難である場合には、当該末日までに当該公告に記載すべき内容を、内閣府令で定めるところにより、公表し、その後直ちに公告を行うものとする。
3 前項の規定による公告又は公表を行つた者は、内閣府令で定めるところにより、当該公告又は公表を行つた日に、前項に規定する公告の内容その他の内閣府令で定める事項を記載した書類(以下この節並びに第百六十七条、第百九十七条及び第百九十八条において「公開買付撤回届出書」という。)を内閣総理大臣に提出しなければならない。
4 第二十七条の三第四項の規定は、公開買付撤回届出書について準用する。この場合において、同項中「発行者である会社(当該公開買付届出書を提出した日にお
いて、既に当該会社が発行者である株券等に係る公開買付届出書の提出をしている者がある場合には、当該提出をしている者を含む。)」とあるのは、「発行者である会社」と読み替えるものとする。
5 公開買付けの撤回等は、第二項の規定により公告をした場合に限り、その効力を生ずる。この場合において、その効力を生ずる時期は、当該公告を行つた時(同項ただし書の規定により公表及び公告を行つたときにあつては、当該公表を行つた時)とする。

これは、公開買付とその撤回を乱発されると証券市場の公正な価格形成機能が阻害されるとして設けられた規定なのですが、実際には買収防衛策が発動されて発行済み株式数が急に増大した場合でも買付を強いることになるために買収を抑止する方向に働くことが多いとされているものです。
しかし、株価操作に使われる恐れが非常にありますから、その辺の対策もする必要があります。
一方で買収者があれよあれよとことを進めてしまわないように、株式に情報を提供して熟慮する時間を与える意味で買付期間の下限20日を延長することを主張しています。
そのほかの内容としては、情報提供の充実とMBOへの規制が盛り込まれています。
MBOについては公正なものになるように、買取価格の第三者チェックなどを求めています。
公開買付に関しては、金融審議会でも撤回を認める方向で議論が進んでおり、株式分割、株式の無償割当が決定したか、新株・新株予約権の発行が決定された場合、または重要な資産を売却してしまった場合には、撤回を認めるという案が出ています。
公開買付の撤回を認める方向での法改正は現実的に視野に入ってきたといえるでしょう。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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