会社分割闘争


NIKKEI NET2003/09/30より

「日立・三菱のルネサス設立は無効」米社が提訴

 日立製作所と三菱電機が半導体事業の大半を分割・統合して4月1日に発足させた
ルネサステクノロジについて、米半導体大手のインターナショナル・レクティファイ
アー(IR)社が東京地裁に会社設立を無効とするよう訴えていたことが30日、分か
った。
 IRは9月3日付で東京地裁に日立、三菱電機、ルネサスの3社を提訴した。IRと
日立は特許係争中で、IRは「日立は当社特許を侵害している可能性が高く、当社は
損害賠償の請求権を持つ債権者にあたる」と主張。商法が定めた会社分割の異議を個
別に問う義務を怠ったとして、分割を承認しないと同時に統合撤回を求めた。同業他
社が事業再編の白紙撤回を求めるのは極めて異例。 日立と三菱電機は商法の会社分
割制度に基づいてルネサス設立を計画。今年2月6日の臨時株主総会で承認を得た。

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商法374条の12にある新設分割の無効の訴えのケースです。
分割会社のうちの一社と特許をめぐって係争中である会社が、
374条の4にある債権者保護手続きを怠ったとして分割無効を主張したものです。

同条では、会社分割をしようとする会社は、「知れたる債権者」に対しては
個別に催告をしなければならないとしているため、特許係争中のIRは、
自分は知れたる債権者だ、と主張したというわけです。
債権者保護手続きの懈怠は無効事由に当たるため、無効の訴えを提起できることになる
というわけです。
会社分割無効の訴えの提起期間は6ヶ月なので、ぎりぎりで訴えたことになります。
(この辺が何か怪しい…)

まず、理論的な点を少々。
「知れたる債権者」については、有名な判例があり、会社が債権発生原因と
具体的に誰であるかを知っていれば知れたる債権者であるとされています。
このケースでは多分これに依拠していったのだと思われますが、少々問題があります。
会社分割の債権者保護手続きは、効果が金銭債権を前提としているので
具体的債権が発生した金銭債権者出ないとだめとされていることです。
係争中ではまだ具体的とまではいえないでしょう。
(上述の判例は、資本減少無効の訴えの事例)

債権者保護手続きで主張している以上、この分割は人的分割だったんでしょう。
物的分割だと、分割会社に請求すればよいということになるはずなので。

日本の商法は、債権者保護手続きが手厚すぎるとされているので、
そのために新興会社の邪魔をするために利用された気がないでもないですね。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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