大阪地裁、マンション用テレビ番組一括録画システムを著作隣接権侵害と判断


マンション内にに設置して、テレビ番組を一週間分HDDに録画、入居者がマンション内のLANを介して映像を好きな時間に視聴できるというシステムを販売していた会社を関西の民放テレビ5社が連名で販売差止めを訴えていた訴訟の判決が24日に大阪地裁でありました。

大阪地裁はこのシステムを著作隣接権侵害と判断、販売の差止めを認めました。
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知財関係となると事実の部分が長くなってしまうため、判決は非常に長いです。

ポイントは2点あります。
①著作権法112条にある差止め請求の対象は条文上、侵害の主体になっており、機器を販売する者自身は録画をするわけではないので、差止請求の対象として該当するか

②マンションの住民が視聴するだけなので私的複製のうちにはいるのではないか

①については、権利侵害をほぼ確実に引き起こす機器の販売は直接の侵害と同視できるとして、112条を類推して差止めを認めました。
テレビの録画しかできないので、それ以外の合法目的の使用の可能性云々がないので当然の考え方ですが、あくまで侵害の主体であるとはしておらず、類推としているところにも注意が要るでしょう。

このような判断をする以上、HDDに録画して住民に視聴させるのは著作権侵害と判断しており、私的複製ではないとしました。
これは録画の主体と視聴の主体が異なるためとしていて、まあ当然といえば当然です。お金のやり取りがなければよいという仕組みになっていないので致し方ないでしょう。

ちなみにあくまで放送事業者としての著作隣接権の侵害であって、テレビ番組の作成者としての著作権本丸の侵害ではないとしました。

これは判決を読んでいただければわかるのですが、訴訟戦略のミスによるもののようなので、別に民法各社には著作権がないわけではありません。

第4章 著作隣接権
第4節 放送事業者の権利
(複製権)
第98条
放送事業者は、その放送又はこれを受信して行なう有線放送を受信して、その放送に係る音又は影像を録音し、録画し、又は写真その他これに類似する方法により複製する権利を専有する。

(送信可能化権)
第99条の2
放送事業者は、その放送又はこれを受信して行う有線放送を受信して、その放送を送信可能化する権利を専有する。

第7章 権利侵害

(差止請求権)
第112条
1 著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、その著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物、侵害の行為によつて作成された物又は専ら侵害の行為に供された機械若しくは器具の廃棄その他の侵害の停止又は予防に必要な措置を請求することができる。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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