村上ファンド提起の東京スタイル株主代表訴訟で和解成立


東京スタイルが投資の失敗で被った損失をめぐる株主代表訴訟で、訴訟を提起していたM&Aコンサルティング(通称・村上ファンド)と東京スタイルの高野社長が和解、高野社長が会社に1億円を支払うことになりました。
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投資が損失を出したというくらいでは、取締役としての責任があるかははっきりとは言い切れませんが、この件では、審理の過程で高野社長が取締役会決議を経た事実を確認できないということになり、善管注意義務違反ではないものの、手続違背があるということになってしまい、そこに責任が生じるということになりました。
多分、高野社長が独断で決めたわけではなく、幹部と相談した上での投資で、取締役会を開いてしっかり決議するとまではしなかっただけでしょうが、手続に瑕疵があるのは確かですので、賠償するのは法的には通る理屈です。
刑事事件として立件されているわけでもないのに、賠償責任が生じるのは極めて珍しいということですが、商法上の義務に懈怠していることと刑事責任があることはイコールではありませんので当然です。
企業統治の観点から、結果だけでなくプロセスもしっかりしましょうということになっていくわけで、それは正しいのですが、ただこの件に限っていうと、マイカル債での損失なので取締役会をしっかり開いても、別に損失は防げなかったでしょう。
手続を大切にするとはそういう結果との関係とは別の話なのです。
(参考)
【株主の代表訴訟】
第267条
1 六月前より引続き株式を有する株主は会社に対し書面を以て取締役の責任を追及する訴の提起を請求することを得。
2 第二百四条の二第二項及第三項〈電磁的方法による提供〉の規定は前項に規定する書面を以て為す請求に之を準用す。
(平成一三法一二八本項追加)
3 会社が第一項の請求ありたる日より六十日内に訴を提起せざるときは同項の請求を為したる株主は会社の為訴を提起することを得。
(平成一三法一四九本項改正)
4 前項に定むる期間の経過に因りて会社に回復すべからざる損害を生ずる虞ある場合に於ては前三項の規定に拘らず第一項の株主は直に前項の訴を提起することを得。
(平成一三法一二八本項改正)
5 前二項の訴は訴訟の目的の価額の算定に付ては財産権上の請求に非ざる請求に係る訴と看做す。
(平成五法六二本項追加)
6 株主が第三項又は第四項の訴を提起したるときは裁判所は被告の請求に依り相当の担保を供すべきことを命ずることを得。
(平成一三法一二八本項改正)
7 第百六条第二項〈悪意の疎明〉の規定は前項の請求に之を準用す。
(昭和二五法一六七《昭和二六法二〇九》本条全部改正)

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

One thought on “村上ファンド提起の東京スタイル株主代表訴訟で和解成立

  1. 阪神 V.S. 村上ファンド

    楽天とTBSとのバトルが話題となっているため、急に影の薄くなった印象もある阪神V.S.村上ファンド。
    阪神タイガース上場問題は、野球ファンならずとも関心の高いところだと思います。
    これまでの新聞・テレビ報道などでの、各ジャーナリストの論調や実施された世論調査の……

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