何のための二院制か


現在突入している衆議院選挙のそもそもの原因は、衆議院で可決した法律を参議院が否決してしまったからです。
総理も本当なら参議院をどうにかしたいところでしょうが、参議院は解散できないため、このようなことになってしまったわけです。

衆議院の優越がありながら、参議院がこれを覆してしまう点があるなど、日本の第二院たる参議院は、諸外国と比しても第二院としては比類なき強大な権限を持っています。
それにもかかわらず、良識の府として衆議院とは異なった構成になることで二院作ることの存在意義を想定していたにもかかわらず、政党化しておりほとんど衆議院と変わりません。
同じことを二度する第二院を持っているというのは極めて珍しいことだといえます。

マッカーサーの出してきた日本国憲法の案では、実は議会は一院制になっていました。
しかし、これは日本側が修正を申し出ててくることを読んだ上での呼び水でした。
マッカーサーは、日本は二院制を主張してくるものと見ており、新しい憲法に日本人の手が入る体裁をとるためとの思惑もあったのか、敢えて二院制で案を出したのです。
案の定、日本側の申し出で二院制に修正され、大日本帝国憲法と同じく日本は二院制を持つことになったのです。

世界的に見ると二院制は、国の形を反映して必要に迫られて二つ議会を置いているというのが実態です。
日本のように同じことを二度して安全弁と評価するのは、あまり聞きません。

アメリカの上院と下院は、連邦制ゆえの二院制で、上院は州の代表、下院は人民の代表となっています。そのため、上院は各州から二名ずつ、下院は人口比例となっているのです。
これはアメリカ合衆国が、連邦政府に州の権限を委譲してできたというところに起因します。
連邦政府の権限は州が認めた限りにおいて行使されるものですので、州の寄り合い所帯の性格がありました。その伝統が今に生きているわけです。

このような連邦制ゆえの二院制が一つの種類ですが、後あるのは、身分制度ゆえの二院制でしょう。
貴族院があるのがそれにあたり、戦前の日本もそうでした。

ただ今日では、まだ存続しているとしても貴族性自体が余り意味のあるものではないので、イギリスでもブレア首相によって、貴族院改革が行われています。

このように、形式的とはいえ、ある程度国の形を反映して、議院制度は作られているので、道州制などを導入しているわけでもない日本の二院制はなおさら、存在意義が問われてしまいます。
憲法改正の問題がようやく解禁されていた日本ですが、議会のあり方についての議論は避けては通れないでしょう。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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