技術者の報われる時代


最近判例が相次いでいることもあり、すっかり職務発明とか会社における技術者の処遇がホットなテーマです。概ね、日本は技術立国なんだから、もっと技術者に報いるべきという意見のほうが優勢です。
その報い方としては、高額報酬ということになってくるようです。

私はひねくれものであるせいか、これには賛成できません。
発明の結果に高額報酬を出すようにすれば、技術者が頑張って会社のためにも日本のためにもよいんだという考え方には、落とし穴があります。

もっと技術者に報いるべきと考えるならば、発明の結果が技術者の報酬にダイレクトに反映するような報酬制度が技術開発の促進の観点からはもっとも望ましいことになります。
そこまでしている会社はないと思われているため、技術者に対する出来高払い制度みたいな主張がでてくるのでしょうが、こういった技術者のやる気を最大限引き出すであろう報酬制度は、実は、基礎研究の雄であるNTTで昔からとられています。NTTでは、最近まで特許すら技術者に取らせて会社のものにはしていませんでした。技術者は若くないと勤まらないために、その特許を持たせてその後の人生の元手にしてもらうための制度です。
その結果ですが、NTTの基礎研究力は世界でも屈指であり、特に暗号分野で目覚しい成果が上がっています。一方で、技術者の自殺が多いという話がありました。プレッシャーがあまりに強いせいで、追い詰められる人が後を立たないようです。

サラリーマン技術者は、成果がないときも生活の保証を得ているということを忘れてはいけないように思います。その辺のリスクを負わないのに、莫大な利益があがったときはもらう権利があるというのでは、かなり無理がある理屈ではないでしょうか。結局は、技術者と会社の賃金の問題として、実力主義をとるのか画一的な賃金制度を採るのかということに過ぎません。会社は独自に賃金制度を策定して、賃金制度で会社間競争をすればよいのではないでしょうか。精神的に強靭な人なら実力主義の会社に行けばよいでしょうし、安定を求めるならそういうのにあった会社に行けばよいように思います。技術者ばかりを特別視して、日本全体を一方の方向に押し流すのは、企業だけでなく技術者にとっても不幸なことになると思われます。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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