信託法改正、債権から分離した担保権のみを信託可能に


我妻説以来民法の通説では、債権者と担保権者の一致が大原則とされています。よって債権者の変更に伴って担保権者の変動が必要となります。

その大原則の唯一の例外が、担保附社債信託法でこの法律では海外での起債を念頭にして社債に担保をつけることを可能としており、社債では債権債務関係の変動が激しいことから、いちいち担保権を変動させるのは迂遠であるとして信託法理を導入、社債の担保を一括して信託するという仕組みを導入しています。

このように日本では、債権者と担保権者の一致が原則でごく一部の例外として一致しない場合が認められるという構成です。

この度、遅れていた信託法の改正作業が進み、担保権を信託することを一般的に可能とする方向になりました。これによって、債権者と担保権者が異なる状況も一般的なものとなります。
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担保附社債信託法は、日露戦争に際して多大の戦費負担が生じることから日本国内の民間資金需要が満たされなくなることを懸念して海外で社債を発行することを可能とするべく制定された法律です。その際、信用を高めるために社債には担保をつけられるようにして、そのために信託法理を導入しました。
当時は信託法、信託業法制定前で一般法の制定に先立ち、このためにあえて信託法理の導入に踏み切ったわけです。

そういう例外的な措置が、一世紀のときを経て一般法に盛り込まれることになりました。
この間、日本で担保権を信託せずにすんだのは日本の信用力が高まったことや国民の高い貯蓄率に助けられた面が大ですが、ついに時代に合わなくなったということでしょう。
信託の活用はここ最近のホットなテーマです。この結論も必然的なものであるといえましょう。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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