与野党、会社法案の修正で合意


国会審議中の会社法案ですが、民主党からの修正要求に対して与党側が譲歩、修正案が出され野党側も了承しました。
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修正されたのは、合計して3点です。
・当初の会社法案では株主代表訴訟(会社法では責任追及等の訴えと呼称されています)を裁判所が却下できる場合として、提起する株主か第三者の不正な利益を図る場合、会社に損害を与えることを目的とする場合、会社の正当な利益を著しく害する場合、会社に過大な費用負担が生じることが予想される場合があげられています(会社法案847条)が、修正により、不正な利益獲得目的と会社に損害を与える目的の場合に限られることになりました。

・会社の役員は任務懈怠した場合、会社に対して損害賠償責任を負いますが、善意無住過失の場合は最低責任限度額まで賠償責任を減ずることが株主総会決議か定款で定めておけば取締役会決議で可能です(425条・426条)。これを総会屋への利益提供の場合には便宜供与に直接関与した取締役には適用しないことになりました。

・会社は取得した自己株式をあらかじめ定款で定めておけば、市場で売却することができるとされていましたが(179条)、民主党から株価操作に悪用されるとの批判があり削除されることになりました。

経済界が求めて盛り込まれた箇所が後退したというところです。
利益供与に直接かかわった取締役が無重過失というのはまずないでしょうし、実際はあまり違いがないような修正もあるのですが、第三点目は大きな変更でしょう。

たしか聞いた話では、現在は自己株式を取得しても、再度市場に出す場合新株を発行しなおしているということでコストと時間がえらい手間で、せっかく金庫株を解禁した意味がかなり失われているようでした。
その解消を狙って盛り込んだ規定のはずですが、またもや後退を余儀なくされ機能不全状態は継続されることになってしまいました。

国会でやり取りをすると法案がどっちつかずの方向に後退してしまう傾向があるような気がするのですが、重要法案ほどその傾向があり、あまり注目されていない法案は問題点が内在していても素通りしています。
国会審議の力の入れ方はどうもアンバランスのようですね。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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