最高裁、公営団地の自治会退会を自由と判断、ただし共益費の支払いは義務付け


公営団地の自治会から自己都合で脱会できるのかどうか、自治会費、共益費の負担はどうなるのか等が争われた裁判の上告審判決が4月26日最高裁第三小法廷でありました。
最高裁は、自治会からの脱会は自由であると判示、ただし建物の維持管理にかかり共益費の負担は自治会からの脱会如何にかかわらず支払い義務があるとしました。
記事はこちら。判決全文はこちら
脱会を可とした理由は、公営団地の自治会は親睦を目的とした権利能力のなき社団であり強制加入ではないとされました。
脱会は可とするものの共益費は払うべきとした理屈付けは、公営団地に入居する以上共益費は自治会に払うことを約束したものであるとして、自治会の会費としてではなく支払方法として入居時に契約したものだとう言う構成をとりました。
当該団地は集合住宅であるので、共同利用部分がある以上その維持管理費まで免れるのは不当ですから、妥当な判示であると思われます。
問題はこの判決の射程ですが、判断のためには自治会とマンション管理組合などとの峻別をしっかりしないといけないでしょう。
私の住んでいる団地は公団がつくった戸建の新興住宅地なのですが、共用施設の維持管理をする組合と自治会は組織上分けて別々になっています。役員は持ち回りで自治会役員と組合役員は兼任になっているので、実質的には同じなのですが、今回のケースのような問題が起きないように共用部分の維持管理費の負担が生じるところは会計が別になっています。よって今回のような問題は未然に防げるようになっています。
ただ、うちのところの自治会の規約には、全戸で構成する旨の文言があり、入居時点で自治会入会も義務付けられているように読めます。
判決の事例では、脱会を制限する規定がなかったために上記の結論になったことは判決中明確に述べられていますので、大半の自治会からは脱会できないということになるかもしれません。
マンション管理組合などは強制加入なので脱会はもちろんできません。
このように見てくると、「自治会から脱会できる」ときくと衝撃的に聞こえますが、大半のケースでは無理ということになり、判決の射程はあまり広くないと見るのが妥当のようです。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)